令和7年 新年のあいさつ

謹んで新年のご挨拶を申し上げます。

昨年は新聞をはじめとしたマスメディアで、コロナ禍によく聞かれた「医療崩壊」に代わって、「医療危機」という言葉を見聞きするようになりました。これは、昨年6月の診療報酬改定以降、経営が困難な状態に陥っている医療機関や病院が多くなっていることを示しているものであり、人件費や物価高騰に対して診療報酬の増加がなかったことが大きな理由の一つです。
医療提供する我々にとって、病院経営が困難になるということは、地域住民に良質な医療提供が困難になることを意味しており(人件費削減や医療機器の整備困難など)、この医療危機を克服するには、「今までの病院運営」の改善や現行の診療報酬への適応策が必要となっています。
当院においては、昨年12月から「地域包括医療病棟」の運用を開始しました。この病棟は、高齢者の救急搬送・入院の受け入れ先となる病棟で、2024年度からの新しい病棟区分であり、地域に根差した中小病院が高度な医療を担う大病院との役割分担を図って、治療および積極的なリハビリを行って早期に在宅復帰できるようにすることを目的としています。さらに、本年1月からは「地域包括ケア病棟」の運用を開始し、3病棟を「急性期(DPC)病棟」「地域包括医療病棟」「地域包括ケア病棟」に病棟再編し、それぞれの特色を活かした病院運営に移行していきます。
また、他の医療機関からのスムースな受け入れ(短時間での返答と数日以内の受け入れ)、老人施設からの外来診察終了以降の相談や診察の積極的な対応は昨年に引き続き継続していきます。
医療危機によって、急性期を担っている病院の健診事業縮小が余儀なくされてきています。社会保険病院時代から健診事業に力を入れてきた当院としては、秋田県の健診は秋田県の病院で行っていく事をモットーに、健診難民ゼロを目標に取り組んでいきたいと思います。
そして附属老健では、引き続き「最後まで口から食べる」「家に居るのと同じような看取り」に取り組んでいくと同時に、通所におけるリハビリの強化や認知症予防強化を行っていきます。 このような取り組みは、病院・健診センター・附属老健施設の職員にとって、今まで以上に忙しく大変な業務が課される取り組みです。職員が疲弊しないで元気な笑顔で働けるように、現場からの声を拾い上げていきながら職員全員でこの「医療危機」を乗り越えて、地域の皆様に良質な医療を提供していきたいと思います。本年もどうぞよろしくお願いいたします。

令和7年吉日

病院長 大塚博徳